クリス・ムーン氏 

彼が義手・義足で過酷(かこく)なマラソンを走るのには、四つの目的がある。

一つは、自分の走る姿を見て、地雷の恐ろしさ、地雷被害国の人たちの苦しみをたくさんの人たちに知ってもらい、今なお地雷を製造し続けている国があるという事実に気づいてほしいから。

二つ目は健常者(けんじょうしゃ)にも、障害者(しょうがいしゃ)にも、自分が本気にさえなれば、自分や周囲が決めた限界を超えて、何でもできるのだということを知って欲しいということ。

三つ目は子供達に、人生は決して公平ではないということを知ってもらいたいということ。つらいことに向き合った時に、どう生きていくかが大切で、自分だけが損をしているように感じて、運命に悪態(あくたい)をついたって、誰も助けてはくれないことに早く気づいて欲しい。不公平な状況を乗り越えるには強い反骨精神(はんこつせいしん)が必要だということを、子供達に伝えたかったから。

四つ目は自分自身のため。自分の限界への挑戦を通して、より深い喜びと、生きる勇気を得るためである。大きな目標を掲げて、自分の納得するまでやってみたいから。